産後の体型を戻す鍵は骨盤底筋群|呼吸と連動して整えるセルフケア
骨盤底筋群を整えて、産後の体型と動きやすさを取り戻す
産後の体型回復で大切なのは、「お腹だけ頑張る」よりも、体の土台を整えることです。 その土台の中心にあるのが 骨盤底筋群 です。 骨盤底筋群は、骨盤の底で内臓を支えたり、呼吸・姿勢・体幹の安定と連動したりする役割を担います。
出産は骨盤底筋群に大きな負荷がかかるため、筋肉が伸びたり、うまく力が入らなくなったりするのは自然な変化です。 ここでは、骨盤底筋群を「締めるだけ」で終わらせず、呼吸・姿勢・動きとセットで整えていくための考え方と、日常に落とし込みやすい実践方法をまとめます。
骨盤底筋群の基礎知識:まず「役割」を理解する

骨盤底筋群は「床」ではなく「ハンモック」
骨盤底筋群は、骨盤の底で内臓を支える筋肉の層です。平らな「床」というより、内臓を下から支えるハンモックのように考えるとイメージしやすいです。 ここが適切に働くと、体幹の安定が出やすくなり、立つ・歩く・抱っこするなどの日常動作も安定しやすくなります。
産後に起こりやすい変化
出産後は、骨盤底筋群に「伸びた状態」が残ったり、力の入れ方が分からなくなったりします。 その結果として、下腹の戻りにくさ、姿勢の崩れ、腰や股関節まわりの違和感、くしゃみやジャンプ時の不安などが出る方もいます。
大切なのは、焦って強く締めることではなく、「呼吸に合わせて、必要なだけ働かせて、ちゃんと緩める」リズムを取り戻すことです。
安全に進めるための目安
産後の回復ペースは人それぞれです。痛み・出血の増加・強い違和感がある場合は無理をせず、必要に応じて医療機関や産後ケアの専門家へご相談ください。 ここで紹介する内容は、日常に取り入れやすい「基本の整え方」を中心にしています。
骨盤底筋トレーニングの基本:効かせる順番が大事
骨盤底筋群は、単独で頑張らせるよりも、呼吸(横隔膜)・腹横筋・背骨の安定といった体幹の仕組みと連動させた方が働きやすくなります。 そのため、産後は次の順番で整えるとスムーズです。
①呼吸を整える → ②骨盤底筋群を“そっと”働かせる → ③動きの中で安定を育てる

基本①:呼吸で“内側から”支える
まずは「吐く息」で体幹がまとまりやすい状態をつくります。目安は次の通りです。
・吸う:肋骨が左右に広がる/お腹と骨盤底が“ふわっと”広がる感覚
・吐く:肋骨がすっと戻る/下腹が薄くなる/骨盤底が“やさしく”引き上がる感覚
強く締める必要はありません。まずは「吐くときに、内側がまとまる」を優先してください。
基本②:ケーゲル(締める→緩める)を丁寧に
ケーゲルは、骨盤底筋群の基本的なエクササイズです。 ただし「締め続ける」よりも、締める → 緩めるをきれいに行う方が、日常動作に活きてきます。
やり方(座位・仰向け・横向き、どれでもOK)
1) 吐きながら:下腹を薄くしつつ、骨盤底を“内側へ引き上げる”
2) 2〜4秒キープ(力は7割まで)
3) 吸いながら:力を抜き、骨盤底が“ふわっと戻る”のを待つ
4) これを5〜8回
お尻や太ももを強く締めすぎると、狙いが外れやすくなります。力みが出たら回数を減らしてOKです。
基本③:橋のポーズで「連動」を育てる
仰向けで行う橋のポーズは、骨盤底筋群・腹部・お尻の筋肉を「つなげる」練習になります。 産後は、腰を反らせて上げるよりも、背骨を丁寧に動かす方が安定しやすいです。
やり方
1) 仰向けで膝を立て、足裏は床にしっかり
2) 吐きながら:骨盤底を“そっと”引き上げ、尾骨から少しずつ骨盤を持ち上げる
3) 吸ってキープ(首と肩はリラックス)
4) 吐きながら:背骨を上から順に戻す(ドスンと落とさない)
5) 5回前後
腰に張りが出る場合は、上げる高さを下げて「お尻の下側が働く」感覚を探してください。
「効いているのか分からない」を減らすコツ(表で確認)
骨盤底筋群は目で見えないため、最初は感覚がつかみにくいです。 そこで、よくあるパターンを「サイン → 直し方」で整理します。
| よくあるサイン | 起こりやすい原因 | 整え方(すぐできる修正) |
|---|---|---|
| お尻・太ももが先に疲れる | 力が強すぎる/外側の筋肉で代償 | 「吐く息で7割」へ。座位より仰向けで開始し、骨盤底は“引き上げる”イメージに。 |
| 下腹がぽこっと前に出る | 息が止まる/肋骨が開いたまま | 吐きながら肋骨を“内側へ”戻し、下腹を薄く。数回の呼吸練習を先に入れる。 |
| 腰が反って張りやすい | 骨盤が前傾で固定/背骨の動きが少ない | 橋のポーズは高さを下げ、背骨を“順番に”動かす。肋骨が突き出ない位置で止める。 |
| 「締める」しか分からない | 緩める感覚が育っていない | 吸う息で“戻る”時間を長めに。緩める練習(ゆったり呼吸)もトレーニングの一部に。 |

日常生活に落とし込む:少しの積み重ねが効く

立つ・座るの“ついで”にできること
忙しい産後は、まとまった運動時間を取るのが難しい日も多いです。 そこで「短い回数を、こまめに」を前提にして、日常の動作とセットにします。
・椅子に座ったら:吐く息3回だけ、下腹を薄くして骨盤底をそっと引き上げる
・抱っこの前に:吐く息で体幹をまとめてから持ち上げる(息を止めない)
・立ち姿勢:みぞおちが突き出ない位置で、足裏に体重を均等に
頻度の目安:毎日“少し”が最強
骨盤底筋群は、重い負荷で鍛えるというより、正しい連動を繰り返して「使える状態」へ戻すことが目的です。 そのため、毎日2〜5分でも続けやすい形が合います。
おすすめの組み合わせ(合計3〜6分)
・呼吸(吐く息を丁寧に)× 3呼吸
・ケーゲル(2〜4秒)× 5回
・橋のポーズ × 3〜5回
メンタル面:体の安定は気持ちにも影響しやすい
体の内側が支えられる感覚が出てくると、「動きやすい」「呼吸がしやすい」と感じる方がいます。 産後は環境の変化も大きいため、運動は“自分の体に戻る時間”としても役立ちます。 できた日は小さく丸をつけるなど、達成感を積み上げる工夫もおすすめです。
ポイント:骨盤底筋群は「強く締める」よりも、呼吸と連動して“必要なだけ働いて、きちんと緩める”ことが大切です。 日常の動作の中で使える状態を目指して、少しずつ積み重ねてください。
まとめ:骨盤底筋群は「体型」と「毎日のラクさ」を支える
産後の体型回復は、体重や見た目だけの話ではなく、呼吸・姿勢・動きやすさの回復でもあります。 骨盤底筋群はその中心にあり、丁寧に整えるほど日常の安定につながります。
今日からできる一歩は、吐く息に合わせて内側をまとめる呼吸です。 そこにケーゲルや橋のポーズを少しずつ足し、体の状態に合わせて継続してください。 無理なく続けることが、結果的にいちばん強い近道になります。
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